修繕積立金は、マンションの資産価値を維持・向上するのに必要不可欠な資金源です。一方で、修繕積立金の不足に悩む管理組合も存在します。修繕積立金が不足する理由や対策について見ていきましょう。
修繕積立金が不足する理由として、長期修繕計画書の内容が適切ではない可能性があります。長期修繕計画書は、修繕積立金の算出根拠となる重要なものです。長期修繕計画に盛り込まれた工事のペースや費用の見積もりが不正確だったり、計画に基づかない修繕積立金の金額が設定されていたりする場合、修繕積立金の不足を招く原因になります。
建物や立地環境によって劣化状況が異なるため、新築時に作成した長期修繕計画書の更新や見直しをしていない管理組合は注意が必要です。
修繕積立金は区分所有者からの支払いで成り立っているため、滞納者が多いと当然ながら修繕積立金は不足します。
国土交通省が行った「平成30年度マンション総合調査」によると、管理費・修繕積立金を3ヶ月以上滞納している住戸のあるマンションの割合は、調査総数(1,688組合)の24.8%という結果に。5棟のうち1棟以上のマンションが長期的な滞納者を抱えているということになり、決して他人事ではない数字です。
超高齢化社会によって区分所有者の高齢化も進んでおり、修繕積立金を支払いたくても経済的な余裕がない区分所有者の増加が懸念されます。
修繕積立金の不足が想定される場合、毎月支払う積立金を見直す必要があります。ただし、毎月の積立金額を引き上げるには、マンション総会で住民の同意を一定数得ないといけません。金銭的な負担が増えることになるため、十分な説明を行ったうえでの値上げの提案や適切な金額の設定が求められます。
同意を得るための対策が不十分だと住民からの反発が大きくなり、値上げのタイミングを逃してしまうケースも考えられます。そうなると、修繕積立金が不足するのは時間の問題でしょう。
修繕積立金が不足した場合、どのような対応を検討すればいいのかについて解説します。
修繕積立金が不足する原因は、長期修繕計画に基づいた積立金の収入よりも、実際の支出が上回ってしまうためです。長期修繕計画は25~30年以上に設定されているのが一般的で、その間に建物の予想以上の劣化や新たな修繕箇所の発生など、メンテナンス費用が想定以上にかさむ可能性があります。
収支差が拡大するほど積立金の不足を招くため、長期修繕計画を見直して収支差を是正することが大切です。国土交通省では、5年程度での見直しを推奨しています。
修繕積立金の不足を引き起こしている原因が滞納にある場合、できるだけ早く滞納者へ督促を行う必要があります。早期対応が求められる理由は、修繕積立金には時効があるからです。5年の時効を成立させないためにも、早めに対応する必要があります。
滞納者が督促に応じない場合は、訴訟や裁判手続きといった法的措置も検討すべきです。
不足分を補う代表的な方法として、住宅金融支援機構が扱っている「マンションすまい・る債」の活用があげられます。
マンションすまい・る債は修繕積⽴⾦の計画的な積⽴てをサポートするための債権(利付10年債)で、購入すると年1回の利息を満期までの10年間受け取れます。初回債権発行日から1年以上経過すれば手数料なしで中途換金もでき、修繕工事等の費用にあてることが可能です。
マンションすまい・る債は要件を満たせば利用できますが、応募できる時期や募集口数には限りがあるので注意しましょう。
修繕積立金の不足分を一時金として徴収する方法もあります。ただし、一時金として徴収するには、管理組合の総会決議が必要です。
一時金の徴収は、金利がかからず、不足分を手早く補えるのがメリットです。早急に大規模修繕工事を行う必要がある場合に有効な方法ですが、積立金の値上げと同様に区分所有者に負担のかかる方法のため、議決に難航する可能性が考えられます。
また、仮に議決された場合でも確実に徴収できるとは限らず、工事直前になっても不足分を補えないリスクも考慮しないといけません。
修繕積立金の一時金は、大規模修繕のタイミングや10年ごとのサイクルなどで毎月の修繕積立金とは別に徴収する方式です。
修繕一時金で注意したいのが、すべての区分所有者から滞納なく集めることが難しいという点。すでに毎月の管理費や修繕積立金で滞納がある管理組合の場合、毎月の支払の何倍も高額な修繕一時金を徴収するのは非常に難しい場合があります。それにより、修繕金が不足して銀行から借り入れを行う、または修繕工事を行えないという事態になりかねません。
一時金は修繕積立金の値上げを先送りしているようなもので、将来の負担増を前提とした積立方式です。毎月の修繕積立金に上乗せして長期的に徴収するか、または一時金としてまとまった額を短期的に徴収するかのいずれにしても、修繕積立金として必要な額は変わりません。
対策として、支払う側として比較的抵抗の少ない、毎月定額の積立金を長期的に支払う均等法式が挙げられます。徴収の難しい一時金方式は修繕に必要な資金が大幅に不足する可能性があるため、一時金方式を採用している管理組合は徴収方法に問題がないか確認をしてみましょう。
小回りの利く
柔軟な提案力
設立当初から他社竣工の物件を管理してきたノウハウにより、きめ細やかな対応、理事会運営のサポート等に長ける。
暮らしをより良くする企画・提案などのコンサルティングも得意で、相談がしやすい。
豊富な実績と
安心のブランド力
大手私鉄の近鉄グループの一員として、不動産開発から販売・管理委託まで一貫した多くの実績を誇る。
徹底した研修制度による高水準なフロントマンのサービス品質や、2007年からの公営住宅管理実績による信頼感が特徴。
保守・修繕重視の
メンテナンス力
ビル・ホテル・学校など様々な建物管理を行うビルメンの知見を活かした、朽化設備の修繕などが得意。
自社センターに警備資格を持つ設備技術者が常駐し、緊急時の一次対応が素早い。