マンションの健全な管理のためには、適切な会計を行う必要があります。ここでは、会計業務の基本や過去に起きたトラブル例などを詳しくまとめてみました。ぜひ参考にして、会計にはどのような業務をあるのかを知ってください。
マンションを運営・管理するうえで行われている会計業務には、いくつかの種類があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
管理事務に必要な諸経費の支払いなどを代行する業務。マンション管理適正化法で定められた財産の管理方法に従って、適切で安全な会計を行います。
組合員などの預金口座から管理費・修繕積立金の引き落としを行い、管理組合の口座へ入金する業務です。また、組合員別に管理費を納めているかをチェック。未納状況を管理組合へ報告し、未納を防ぐために催促業務も実施します。
管理組合の毎月の収支状況をチェックし、月次収支報告書を作成。管理組合に結果を報告する業務です。収入と支出の内訳が確認できる収支報告書、預金残高が記載された貸借対照表、科目明細書など、わかりやすい資料を作成しています。
一年間の収入・支出などについて帳票・請求書・領収証綴りをつくり、決算案を作成する業務です。また、次年度の予算案も作成し、管理組合に提出します。
では、管理費・修繕積立金の流れを詳しくチェックしてみましょう。
不正を防ぐため、マンション管理適正化法により管理費・修繕積立金などの分別管理が定められています。国土交通省が定める3つのうち、下記でお伝えするいずれかの方法で管理しなければなりません。
参照元:e-Gov「マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則(平成十三年国土交通省令第百十号)」
(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=413M60000800110_20230228_504M60000800007)
参照元:e-Gov「マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則(平成十三年国土交通省令第百十号)」
(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=413M60000800110_20230228_504M60000800007)
参照元:e-Gov「マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則(平成十三年国土交通省令第百十号)」
(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=413M60000800110_20230228_504M60000800007)
では、過去に、どのようなトラブルが起こったのか具体的に紹介しましょう。
2020年、管理組合から管理を受託している管理会社の従業員と再委託先の従業員が、修繕積立金などを含む管理組合財産を不正に着服していたことが判明しました。
不正に加担していた従業員は11名、着服された金額はおよそ370万円。
法律では「マンションの区分所有者などから徴収した修繕積立金等を収納口座に預入した後、そこから当該月中の管理事務に要した費用を控除した残額を翌月末日までに保管口座に移し換え、預貯金として管理する」と決められていますが、この口座に移し換える作業を実施しなかったそう。
トラブルをひとつ紹介しましたが、これは氷山の一角。マンション管理費・修繕積立金の横領事件は後を絶ちません。管理費・修繕積立金の管理を管理会社に委託し、そのまま任せきりにしているという管理組合は多くあると予想されますが、有名な大手管理会社だから安心という考えは危険です。仮に、社内に内部チェックの体制があるとしても機能していない管理会社も存在するからです。
管理会社を選ぶ際には、口コミや評判などをよくチェックし、本当に信頼できる会社であるかどうか納得したうえで決めるとよいでしょう。
マンション管理組合が管理費や修繕積立金を適切に運用するためには、定期的な会計監査が欠かせません。不正防止の第一歩は、財務情報の透明性を高めることにあります。会計監査では、月次報告書、予算案、決算書、そして銀行口座の残高証明を綿密に確認します。管理組合内部での監査に加え、外部の専門家である公認会計士やマンション管理士を採用することが推奨されます。外部の目を入れることで、監査の客観性が向上し、不正が隠蔽されるリスクが大幅に軽減されます。また、監査結果は住民全員に共有されるべきであり、これにより住民が組合の運営状況を監視できる体制を作ることが可能です。
マンション管理会社による資金の不正利用を防ぐためには、印鑑と通帳の分別管理が効果的です。理事長と会計担当者、あるいは監事がそれぞれを分担して保管し、相互監視の仕組みを整えることが求められます。また、通帳や印鑑の管理においては、紛失や悪用を防ぐために厳密な管理ルールを設けることも重要です。さらに、デジタル口座やオンラインバンキングを活用することで、アクセス権限を限定し、管理プロセスをより透明かつ効率的にすることが可能です。このような分別管理は不正を未然に防ぐ抑止力となり、管理費の安全性を高める手段として不可欠です。
マンション管理会社を信頼しすぎることはリスクを伴います。管理会社に業務を委託する場合でも、管理組合が主体的にその業務内容を監視し、定期的な報告を求めることが重要です。報告会や住民への説明会を定期的に開催し、管理会社が実際に行った業務内容や費用の明細について明らかにすることが推奨されます。また、新たに管理会社を選定する際は、複数の会社から相見積もりを取ることや、実績や評判を慎重に調査することが必要です。契約書には透明性を担保するための条項を追加し、業務内容や報告義務を明確に規定することも、不正防止の一環として重要なステップです。
マンション管理の健全性を維持するためには、住民全員が運営状況に関心を持つことが不可欠です。管理組合の活動内容や会計状況を住民に定期的に公開し、透明性を高めることが求められます。総会や会計報告会を開催することで、住民が管理費の使途や管理会社の業務内容に対して理解を深められるよう支援します。また、匿名で意見を出せる仕組みを導入することで、住民が気軽に疑問点や改善提案を伝えられる環境を作ることも効果的です。このような情報共有は、住民が主体的に運営に関与するきっかけを与え、不正行為を抑止する大きな力となります。
マンション管理組合内での内部統制を強化することは、不正防止の基本です。特に、支出の承認プロセスにおいては、複数の役員が関与する仕組みを取り入れることが推奨されます。一人の判断で多額の資金を動かせる体制は、不正の温床となる可能性があります。例えば、修繕工事の見積もりを複数の業者から取り寄せることや、支出の際に理事長と会計担当者の二重承認を必須とすることが具体的な対策となります。また、内部監査を定期的に実施し、不正やミスがないかを確認することも重要です。これに加え、キャッシュレス決済や銀行振込のみを利用することで現金の管理リスクを減らし、より透明な資金管理が実現します。
近年では、不正防止にIT技術を活用する動きが進んでいます。会計管理ソフトウェアやAIを活用した異常値の検知システムは、不正行為を早期に発見する効果的な手段です。また、電子契約や電子承認を導入することで、紙ベースの業務からデジタル化を進め、業務の透明性と効率性を向上させることが可能です。外部専門家による定期的なリスクアセスメントや管理会社の業務評価も、信頼性を向上させる重要な施策です。
マンション管理において、不正を防止するためには管理組合、住民、そして管理会社の三者が連携して努力することが必要です。透明性と信頼性を高める施策を積極的に導入し、住民が安心して暮らせる環境を維持することが、管理組合に求められる使命です。
マンション運営・管理における会計にはさまざまな業務があるため、管理会社への委託を視野に入れている組合も多いでしょう。しかし、管理会社の社員による不正が起こる可能性があることも頭に入れておいた方がよいかもしれません。管理会社を検討している際には、口コミや評判などをくまなく調べ、不正のない会計業務を行っている会社を選びましょう。
マンションの管理・運営は、管理会社と協力していくことが大切です。このサイトでは、大阪の管理会社をもれなく調査し、詳しくまとめています。管理会社を見直す際は、ぜひ参考にしてください。
アイミツ取るならここは抑えて!
大阪でおすすめのマンション管理会社3選
マンション管理会社は、デベロッパー系と独立系の2種類に分けられます。それぞれの特徴やメリット・デメリットを整理しました。
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独立系 |
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