分かりづらいマンション管理会社変更の手続き手順について、プロの視点も交えて解説しています。
まずは大まかな流れを掴みましょう。
ざっくりと、準備フェーズ・選考フェーズ・決定・引継ぎといったフローに分けられます。
組合(理事会)が自主的に手を動かす必要があるのは主に準備フェーズで、選考(プレゼン)や総会準備、引継ぎなどは管理会社がサポートしてくれることも多く、「すべて自分たちでやらなきゃ!」と焦る必要はありません。
ただし、その分最初の情報収集には時間をかけるべきです。
流れを掴んだ上で、それぞれのフェーズについて細かく解説します。
今回、管理会社変更の手順を解説するにあたって、プロの目線からのアドバイス(コツ)をいただくため、株式会社カシワバラ・デイズに協力していただきました。
カシワバラ・デイズは1999年の設立から一貫してビルやマンションの管理を行ってきた所謂「独立系」の管理会社です。
竣工時に親会社からそのまま委託されるデベロッパー系の管理会社と違って管理会社の変更を引き受けるケースも多く、現状分析や引継ぎにおける報告書の確認なども徹底して行っています。
管理会社変更の流れについてインターネットで調べると、様々な企業のページがヒットしますが、大まかな流れは基本的に同じです。
ただ、各社によってサポート範囲が異なったり、資料作成に費用がかかったりする場合もあるので、相談する際は注意してください。
企画・提案力が光る柔軟な対応が強みの会社
所謂「独立系」と言われる形態で、設立当初から他社竣工の物件を管理してきたノウハウによるきめ細やかな対応、理事会運営のサポートが得意な管理会社です。
フロントマンの担当数を10組合ほどに抑えることで1つの組合に向き合うリソースを確保し、住む人の暮らしをより良くするコンサルティングを含めた「提案型マンション管理」を目指しています。
現在では、グループの強みを活かして大規模修繕工事などの改修工事相談も責任を持ってフォローできる体制で、ライフスタイルのトータルケアを行っています。
いきなり管理会社の良し悪しを比較するのではなく、まず自分たちのマンション・あるいは管理会社の問題点を抽出し、選考メンバーの中で課題解決の共通認識を持つ必要があります。
管理会社のホームページを見ても「すべて対応できます!」と書いてある場合がほとんどですが、実情は得意な業務がそれぞれ違うものです。
場合によっては、住民に不満な点や普段気になっていることなどアンケートを取ってみるのもよいでしょう。
管理会社変更に対して重い腰が上がらないメンバーがいる場合もあるかもしれませんが、より良い管理運営体制にしていくために必要なことであれば、積極的な雰囲気づくりが求められます。
「見直しすべき」という空気の醸成が、後々の総会意思に繋がります。
課題が浮き彫りになったら、解決してくれる会社探しです。
複数の管理会社に見積もりを取ってゆっくり吟味したいところですが、ただメールのやりとりを行えばいいというわけではありません。
正確な見積もりには「現地調査」が必要不可欠。契約書の内容だけではマンションの設備状況が把握できないからです。
各社とのスケジュール調整や参考資料の準備が必要になるため、ここが一番大変になるかもしれません。
当然立ち会いも必要になるので、1日にまとめたり、期間を定めて一気に行うとよいでしょう。
現在の管理状況を確認してもらうために、「管理委託契約書」「点検報告書」「重要事項説明書」「直近の総会資料」「設計図」等があると良いでしょう。
各社を比較しやすいよう、希望する管理内容を「仕様書」にまとめてもらいましょう。
現状の管理会社と比較する上でも、全く同じ仕様で見積もりを提出してもらわないと比較できません。
そのためにも、できる限り報告書類を全てチェックし、管理組合がきちんと比較しやすい見積書を作成してくれる管理会社に狙いを定めるべきです。
金額だけでなく、初動の対応から選考を始めるくらいの気持ちがあると良いでしょう。
必要であれば懸念事項も相談してみましょう。竣工時から一切変更されていない管理規約の刷新などはありませんか?この機会に相談するチャンスかもしれません。
どの会社に見積もりを依頼すればよいか分からない方は、当サイトが厳選したおすすめの3社も是非チェックしてみてください。
各社の見積もりが届くまで2~3週間かかるでしょう。揃ったら、まず依頼した仕様書通りに作成されているか確認し、最終候補を絞り込みます。
多くの場合は、3社程度に絞った上で「プレゼンテーション」を開催します。
金額に目がいきがちですが、最初のステップで洗い出した問題点が解決できるのかもしっかり検討しましょう。
「管理品質が上がるのか」という視点が重要です。
組合側の選考だけでなく、管理会社側からのより具体的なアピールを聞くためにプレゼンテーションを行います。
1回のプレゼンテーションでどうしても決められない場合は、複数回行うことも可能です。
また、より慎重に行う場合は選考メンバーだけでなく、居住者向けのプレゼンテーションも設けてアンケートで意見を募るという手段もあります。
マンション管理会社の営業マンだけでなく、実際のマンション担当者(フロント)も出席してもらえるケースもあります。
もしくは、組合側と管理会社のコミュニケーション(ヒアリング)の場と捉え、そこから適切なフロント担当者の選出を行ってくれる会社もあります。人選についても話し合ってみるといいかもしれません。
推薦会社か決まったら決定までの最終準備です。まずは組合員向けに「重要事項説明会」を開催した後、総会または臨時総会にて決議を行います。
可決には総会参加者の過半数の賛成票が必要なので、総会が成立するための定足数を事前に確認しておきましょう。
重要事項説明会の資料はもちろんですが、総会の開催前に組合全員に配布する「総会議案書」の作成も新しい管理会社に相談してみましょう。
当日の準備など、推薦まで決めてくれた場合は最終決定まで協力的な会社も多いはず。
現在の管理会社には、解約日を明記した解約通知書を送付して解約を申し入れます。原則として業務委託契約の解約には3ヶ月前の通知が必要です。
解約までの3ヵ月間で、新旧の管理会社による引継ぎが行われます。
引継ぎ内容は主に下記となりますが、立ち会いを必要とせず、業者間で済まされる事も多いです。
引き継ぎに漏れが無いよう、引き継ぎの進捗状況を両社から報告してもらうようにしましょう。
また、立ち会いを行わない場合は報告書を提出してもらいましょう。
役員メンバーを中心に、下記のような点に心当たりがあれば、委託先の変更を考えてみるとよいでしょう。
管理会社変更の理由としてよく挙がるのが、対応への不満です。
人的不満であれば、人員の交代で状況が好転する場合もあるでしょう。
しかし「言ってもなかなか対応してくれない」といった対応スピードへの不満や、「清掃が行き届いていない」などの基本業務に問題がある場合、管理会社ごと変更したほうがよいケースもあります。
小さな不満でも、日々積み重なって大きな爆発となってしまうことも。そうなる前に早めの情報収集を行いましょう。
人件費の高騰から採算が取れなくなり、やむを得ず管理費の値上げを行う会社も増えています。
管理費の値上げに対して素直に頷く前に、他社に見積もりを依頼して「同じ管理条件の相場を確認する」ことも検討してみましょう。
これまで調べていなかっただけで、実はこれまでの管理会社が割高だった、といったことが分かるかもしれません。
管理費値上げとも関連しますが、管理会社側においても、人手不足から管理棟数を物理的に削らなくてはならなくなっている場合があります。
管理会社側から見て利益率が低い・クレームが多い・拠点エリアから遠いなどの理由で打ち切られてしまった場合、再委託先を見つけなくてはなりません。
普段から情報収集をしていたり、過去に見積もりを依頼したことがあれば、そこからの話がスムーズにいくこともあるでしょう。
日々の業務に不満はないが、たまに訪れる改修のタイミングで見極められる場合もあります。
例えばデベロッパー系の管理会社では、工事や改修において関連会社を優先的にアサインする傾向があります。
最終決定権として組合側の意向は必須ですから、このような提案を受けた際に下請けの施工会社までしっかり吟味してみましょう。
複数社の見積もりをした上で適切な提案をしてくれるかなど、真摯な対応をしてくれる管理会社かどうかチェックしてみてください。
管理会社変更の際の手順をまとめました。
選考やプレゼン段階になると、管理会社は囲い込みをかけてくるため、序盤の情報収集・事前準備がとにかく重要です。
比較検討する際も管理費に目が行きがちですが、安易に選んでしまうと後々後悔する可能性があります。
今後長く付き合っていく上で本当に信頼できそうか、しっかりと見定める必要があります。
解説したポイントを踏まえて、納得のいく管理会社に依頼しましょう!
社名 | 株式会社カシワバラ・デイズ |
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所在地 | 大阪府大阪市北区西天満5-14-10 梅田UNビル12F |
設立年 | 1999年 |
TEL | 06-7223-8153 |
URL | https://www.kashiwabara-days.co.jp/ |
管理実績 | 255組合 |
「管理業務主任者」 資格保有者 |
28人 |